春祭り/
為平 澪
われて逝った
境内に差し込む最後の西日のような
か細い眼差しを私に注いで
黒いジャンパーを後追いする子供が
足を取られて転ぶ、祭りの帰り路
易々と抱きかかえられ
父親に作られた小さな神輿の中で
肩に?まった自慢気な瞳が
私の内部を覗き込んで
忘れ物の在処を問いかけるが
突然の父親の頬ずりに幼児は堪らず
「エンチキドッコイショー」
子供神輿が髭の痛さに耐えかねて
かけ声宜しく泣きながら
町の横丁を練り歩く
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