草の歌 ?/flygande
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くさきりはら橋、火に包まれる。燃え上がる?(ぶな)、椎、樫の森、火事のさなかにも岩魚は泳ぎ、水の中でなお炎上する。腹を見せれば狐に食われ、背中には芥子の膏(くすり)が塗られる。大火は山を焼き払い、あとには煤けた骨だけが残った。夜明けは青く、朝の雨、骨の隅々まで染み渡り、細切れになった命は土へと流れて隠される。飢餓の鹿は栗を求めて焼野原をうろうろ歩き、炭となった切り株を踏み砕いては膝を折る。川の水はようやく冷たく、渡された倒木を渡りながら、かえすがえす、この向こうには、霞む目のこの向こうにはと、春を望んで幻視する。新芽は秘匿された命の告白。やがて水辺から野は始まる。
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