ゆらぎ ひとり/木立 悟
訪れるもののない中庭に
光が射しては揺れる草
縄で書かれた文字の上
固く転がる鳥たちの声
香りの白さに照らされて
夜が隅々まで見えるのに
それでも窓を閉じてしまう
見えないほうが見えてくるから
ひとつひとつ異なる
たくさんの機械の音
雷曇を見上げる舌
黄に染まる背と羽の群れ
目のなかの水に
暗がりの塊が映る
夜の灯
真緑の壁
明暗とともに
音もまた見えてくる
十九時には既に
花嫁も夜になっている
空から 地から
激しい光が昇り ぶつかり
中庭を照らす一瞬に
幽かな朝の喝采は降る
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