星の鼓動/まーつん
覚束ない手で握った
透明な定規を
まっさらな星の肌にあてて
まだオムツを付けた子供たちは
ぶつぶつ言いながら
線を引く
柔らかく上下する面を
よちよち歩きを覚えた足が
飛ぶ暇もなく抑え込む
欲しがることが
生きること
そうしつけられた足が
目当てのものに
駆け寄るたびに
周りの景色をかき混ぜて
いつしか独りぼっち
歩みつかれた時間が
道の向こうで立ち止まると
風がやんだ
あなたはそれに倣い
泉の岸辺に立ち尽くす
擦り切れた足の裏に
伝わってくる星の鼓動
水面に映る顔には
皺と影が増えた
細くなった髪が
触って、とねだる
絡みつく昨日を
惜しげもなく払うと
水の鏡に横たわる
誰よりも早く走り
誰よりも多くを手に入れたから
誰よりも疲れているんだね
ずるいずるい、
そう叫ぶ人々の手が
あなたの美しい皮を剥ぐと
時は後ろ向きに歩き出す
迸る光が
人々の目を焼いて
なにも見えなく
させるまで
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