フラグメンツ/ほたる/AB(なかほど)
 
それが蛍というのなら

それを蛍という人達が
優しい微笑で小鳥をつつむように
佇んでいる

それが蛍というのなら
どんなにか幸せな人達なのだ




ヤマホタルブクロ

じんじんじんじん
壺屋の水は甘かったか
久茂地の水も甘かったのか
そこから誰かの光が見えるのか
じんじん

あの娘の涙を飲んで落ちて来るか
じんじん




うみほたる

漁り火はほたるじゃない
燐光もほたるじゃない
君もほたるじゃない
君の魂もほたるじゃない
心はここにあって

そのほたるも海には帰れない




イカロス

君達の足並みは、羽ばたきは、瞳の色は
揃わされなくてもいい

今年最後の水辺のイカロスは
懐中電灯に気づいてしまい
弱い光でゆっくりと近づいてきてくれた






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