温度/松本 涼
 
もういくつもの
ほどけた季節に熱を預けて
私はすっかり温くなってしまった

風を待つ鳥がベランダで
羽を休めるのを眺め
私は何も待ってなどいないことに気づく

世界を内を流れる温度の波紋を
見つめているだけだ


けれどこの温さも
飽きるほどには留まりはしないだろう

私にはまだ気づいていないことの方が
多いのだから

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