翻弄/氷鏡
 
い、耳を塞ぎながらもその言葉に最大限傾注しているこの醜い身体を捨てたい 心の壁、敵意、瞳、意図的な無音に囲まれて、自分がいなくても成り立つ世界で毎日のように自分を殺して秩序を保っていたのは結局よく見られたいという願望の成れの果てだったのかもしれない 悪魔に蝕まれるも縋る神もおらず結果的にあらゆる非科学的存在の否定と少量の錠剤がわずかな時間をつくっていた、それは実に詩的でストーリー性にあふれていたが見世物になって憐みを得ようにも自分のプライドが邪魔であった

世辞とは愛想のいい言葉である、どれがそうなのかは分かっていた、応援とは都合のいい言葉である、どれが本物なのかは分からなかった
そんな言葉に背中を押され、私は崖を転げ落ちていった
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