金色/やまうちあつし
 
朝目覚めると
ライオンになっていた
金色の鬣
大きく裂けた口に鋭い牙
威圧的な眼差し
洗面所に立った私は
鏡に写った自分の顔に驚愕した
慌ててリビングに駆け込むと
家族は初めこそ
困惑の表情を浮かべたものの
まもなく何ごともなかったように
それぞれ朝の仕度に戻る
朝食のサラダをパリパリと食べながら
怖くないのかと娘らに尋ねると
動物園で見たことあるから、と
鬣に手を突っ込んでくる
そんなこともあるんじゃないの
人間の方がよっぽど怖いわ、と
意味ありげに妻
仕方がないのでネクタイで首をしめ
そのまま出勤することにする
通勤中も驚くほど差し障りなかった
ギョ
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