ひとつ 不変/木立 悟
何かが揺れて
降りはじまる雨
透り径 解け径
無数の目を持つ鬼の径
儚い糸
儚い角
光の跡が描くのは
すぐに消え去るものばかり
闇に常に降る破片
水を持たない水の傷
溝にあふれる光の音
何処かへ何処かへ向かう枝の背
踵と踵を合わせ
つま先を少し上げれば
星のそばまで着く
冷えて死ぬ前に帰る
狭い水に浮かぶ羽
際限なく重なりつづけ
半ば浮かび半ば流され
重さのためではなく沈みゆく
明るい曇の日
幸福が刺さったままの無感覚の手をひらき
降るものを降るものをこぼしながら
積もる無明を踏みしめてゆく
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