ぼく語と星/若原光彦
もしもひとつだけ願いが叶うなら
世界にむちゃを言わせてもらえるなら
ぼくはぼく語の制定を望む
ぼく語はぼくの歴史に基づいて
文法や語彙が構成されており
そこにはぼくの可能性も含まれる
と同時にそれはぼくの限界を示す
ぼくの認識をそのクセをうかつさを
たとえばぼくに何が言えて誰をどう傷つけうるのかを
ぼくに何が考えられ何が考えられないのかを
ぼくがいつどこでどんなざまで死ぬかを示す
日本語や英語はぼくを殺すが
ぼく語はぼくをただ死なせる
ぼくはなに語も話せるようにならないだろうから
もしも世界にむちゃを言わせてもらえるなら
ぼくはぼく語の制定を望む
ぼくはそのぼく語で
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