リクエスト(まるでひとのよの夢)/秋葉竹
 

人差し指を1本づつ、
このおちょぼ口にくわえこんで、
歌ってほしいなぁ、歌ってほしいなぁ、
と、
せがんでいれば、
突然あの人が現れて、
歌ってくれるんだ、と。

夢物語のように
心にしみこませるあまったるさで、
歌って聞かせてくれる、
真っ暗な、乾ききったこの部屋で、
そのやさしい歌をききながら

好きすぎて殺したいなって思うんだろう、きっと。

その時、
汚しちまった孤独の毒を
銀貨の瞳に映し出し、
まるで、
ふたりの再会を祝う星の雫、
降りそそぐ夜空を、
広い窓を、開けて、見上げて、

好きすぎだから、もう、殺したいなって。







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