二月からのこと/山人
平易な朝と言えばいいのだろうか
ひさびさに雪除け作業もなく道路は凍っている
稜線には水色の空がのぞいている
声を枯らし、鬱陶しい汗が肌着を濡らし
昨日の日雇いはきつかった
だだをこねていた中国人の子供が
にこやかに礼を言ってくれたのが唯一の救いだった
気持ちはいつも
揺らいでは落ち、昇り、また降下していく中で
私は今日、遠出のための準備を終えた
遠方まで出向き、私は私の存在意義のために動こうとしている
この先どんなふうに未来は動くのだろう
豊穣の未来のために
私は利口な農夫になれるのだろうか
新しい種を求めて
私は遠出する
*
まだ夜も明け
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