いいえ、私も、木霊だよ/秋葉竹
 


ひとりの人生はおもい秘密を背負って、
険しい坂道を、歩いて登っていくものさ。

だからその途中で立ち止まって、大声で
叫びを木霊にしてみたいな。

いいえ、私も、木霊だよ、って、いって欲しい、
「好き」っていうと、「好き」って、いって欲しい。

「バカ」のあとに、「ウソ」っていうし、
「ウソ」のあとに、「バカ」っていう。

この想いが、あなたに届く訳ないって、
わかっているから、生きていたくないんだ。

あたし、開かれる未来なんて、
見たことなかったよ。

いつも、いっつも、あたしの明日は、
飛べない猫の絶望みたいで、
「サヨナラ」だけ、
あなたに告げるわ、きっと。

だれにも届かない悲しみを届かせる
必要など、あるのか。

あたしは、寂しさに、くるまれて、やるさ。
「サヨナラ」っていっても、
「サヨナラ」っていうな。
木霊じゃないならね。

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