ひきづる/宮木理人
重たい袋を引きづりながら
深夜の国道の真ん中を西に向かって直進していると
後ろからクラクションを何度も鳴らされ
そのたびになんだか気が大きくなっていくおれは
酔っ払っているみたいになって
両脇の建造物が 、マラソンランナーを応援する観衆のように
おれに向かって手を振ってくれていた
朝日が昇るまでひたすら進む
そうすれば、ほんとうに、朝日が昇りはじめるんだろう
道が途絶えても、ずっとずっとひきづる
誰も見ていないからこそ、ほんとうのアピールになりうる
仲間も、関係者もみんな置いていって
海に潜ってもひきづる
「あのときは何をお考えになっていたんですか?」
インタビュアーの質問
サンゴ礁を避けながら、ひきづる
重たい袋を持っていたら
決して浮き上がることはない
戻る 編 削 Point(1)