希望と過ごした日々のこと/TAP
いる様子でしたので
傷の手当をしてやり
清潔な服を与えてやり
その日は白湯を飲ませ
次の日はお粥を食わせ
優しく介抱してやったのでした
なんと満ち足りた日々であったことでしょう
心は軽く 弾むようで
希望がみるみる回復していく姿を見ると
嬉しくて 嬉しくて
いつまでも世話をしてやりたいものだと 思ったのでした
もう大丈夫 今までありがとう
希望はそう言うと 翼を大きく広げ
雲ひとつない空へ ゆっくりと飛んでいきます
すぐに心は暗い情念で 真っ黒に汚れてしまいました
激しい憎悪と悲哀に襲われて 涙まで流れる始末でした
希望めがけて 石を投げてやろうかと思いましたが
どうしてこういう気持ちになったのか わかっていましたので
すんでのところでやめまして 歯を食いしばり 希望を見送ったのでした
何を投げても届かないくらい 高く高く 昇ってしまうまで
いつしか青空に溶けてしまったかのように 希望は見えなくなりました
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