静寂がまた暗い口を開ける/ホロウ・シカエルボク
 

植林公園のいちばん奥の、目立たない遊歩道の終わりで大っぴらにまぐわっていた若いカップルが、綺麗に解体された状態で発見されたのは三月の終わりの日曜の朝のことだった、四肢は根元からすっぱりと切り落とされ、ストーンサークルの外周を描くかのようにひとつの大木の根元に並べられた、そしてその放射線の真ん中にふたつの胴体が幹を挟んで背中合わせに据えられ、そこから二メートル上空に迫り出した太い枝に、ふたつの頭部のこめかみが貫通されたかたちでディスプレイされていた、ふたりの目はだらしなく、酩酊しているかのように半分閉じられ、黒目は上瞼の内側に潜り込もうとしている途中で停止していた、白目は澱み、人工関節の継目のよ
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