ほんとうに言いたかったのはたぶんそんなことじゃなくて/ホロウ・シカエルボク
レディオヘッドのあとでぼくたちは
おもちゃの拳銃でたがいの心臓を撃ち抜いた
それで賞味期限はおわり
ぼくらのあいだにあったものは神さまへと返品処理された
不思議よね、と彼女が
「こんなに簡単なことがどうしていままで出来なかったのかしら?」
ぼくは当然
返事をしたいような気分じゃなかったのだけれど
返事をしないことで彼女が調子に乗るのが嫌だったので
簡単なことさ、と世間話のように言った
シンスケ・ナカムラは今度こそベルトを獲るだろう、そんな話をするみたいに
ぼくがわざとそんなふうに話していることを
彼女はきっと気づいていただろうけど
「簡単なことが出来るようになるま
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