おだやかな水の流れがすべてを飲み込んでいくように/ホロウ・シカエルボク
 


劇薬みたいな陽射しの下で、きみは舗装道にむきだしの膝をついて、街の喧騒の中から知り合いの声だけを探し出そうとするみたいにじっとしている、視線は少し先の街路樹の根元を見つめていたけれど、本当に意識に落とし込もうとしているものがそれではないことは明らかだった、いつもそうなのだ、スコールのようになんの予兆もなく訪れて、ほんの少し辺りを掻き乱したと思ったらどこかへ消え去っていく、まるでそんなものははじめからなかったんだというほどにあっけらかんと…ぼくは興味やら焦りとは無縁のところで、どんな欠落も欠陥もないらしい人たちの交通の妨げになっているきみのことを少し離れて眺めている、待っているしかない、きみ
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