悲しい祈り/秋葉竹
きなくせに
カラスだけは嫌いだよというと、
「あたしの眼をみて
言ってごらん?」
と顔を近づけて
心縫いつけるやさしい笑顔で
そっと額をくっつける。
そして帰るべき家を持たないはぐれものは、
もうひとりの自称永遠のはぐれものと
その罪をごまかす愚痴を言い合いながら、
忘れられない新しい朝が
この街を白い光でくるみ
かつての寂しさを罪人の嘆きと詠じ
どこへ行っても眼に見えない圧力が
ささやき伝わり聞くところの灰色のマンションでも、
別のたいせつな子供時代の誓いに殉じて眼を閉じ、
そっとありがとうを言いたかったのだと
身振り手振りを大袈裟に使った
ジェスチャーゲームの達人のくせに
そんな泣き出しそうな顔しないでと
ただ純粋にこころから
愛おしいから祈ってしまう僕がいる。
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