悲しい祈り/秋葉竹
週末、夜明けまえに電線にとまり
カラスが餌を探してキョロキョロとして
カラスよけのネットのないゴミのところへ行った。
タバコの吸い殻や
丸めたティシューが散らばり
食べものとしてのゴミの中にもはや
ドキドキとしない
小さな優勝トロフィーが転がる。
あ、それ、不燃だよ。
けっして、燃えないよ。
ひとつだけ聞きたいことは
「バカカラスと呼ばれ
白く塗られてもいいですか。」
やすっぽいうわさがこの街に
朝日とともに顔を出し
もそもそと話しかける僕は
ひとりでも朝食を作るために
つとめて明るい話題でやり過ごそうとする。
誰よりも黒い瞳が好きな
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