冬と光柱 /木立 悟
 






水が水辺を踏みしめる音が
葉と葉のはざまに響いている
終わらぬことを表わす文字が
冷たい場所に冷たく残る


闇が指にひらかれ
光が枝に割れるとき
水は分かれ 分かれ分かれて
重なる手のひらに廻りまたたく


穴の無い柔らかな仮面を
幾つも幾つも喰い破ってきた
河口が河口に崩れる音を
幾つも幾つも幾つも見てきた


ふいに現われ
去る群れのなかに
海の娘や獣がいて
かわるがわる夜を歌う


冬は常に
近づき 離れ
ぶつかりつづけ
雪紋の地図を左目に吹く


明るさは増し暗さは増し
夜はさらに遠く高くなり
万の華 はざま 
空のむこうに廻りつづける

























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