ただ、好きなだけ。/秋葉竹
愛を直視して、みせて
僕が君を好きな理由を
勢いにまかせて、告げようとした。
私もそうなの、と、
味のないガムを吐き出すより早く
目も見ないで言ってくれて
好きな理由を言わせないんだね、
その代わりに伏せた目を僕に向けて
子供に言って聞かせる丁寧な口調で
君は僕を悲しませようと
過去の自分のはなしを聞かせるんだ。
僕にはわからない罪を懺悔し、
涙目になって両手で僕の手を取って、
いい訳だけはしないまっとうさで
自分がどれほどひどい女であるかを
過去のいつつのエピソードを紹介し
僕に理解させ、僕に嫌われようとする。
だから、私はあなたのこ
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