桜の花、ちる/秋葉竹
がするぞ。
あきらめのわるい
孤独な足の影も
地面に縫い付けられているぞ。
そして
寂しくない夜はそんな調子で、
ふだんとかわらない砂時計で時を数え、
ひとつの砂粒も落ちないものとてなく、
ふしぎな夜がふしぎでなくなるとき、
胸を押し潰すというのか、
心臓を握り潰すというのか、
心のガラスを叩き割るというのか、
孤独を真っしろに塗り潰すというのか、
すべてのウソを
あばいてしまう
峻烈なほんとうの声が
からだじゅうの血の底から
聴こえてくるのだ。
なぜ、
ごまかせると信じた?
いったいいつまで
寂しいといってはいけなかった?
桜の花がちり、
もはやこの世界には
夢や狂気で語られるまぼろしごとなど
存在できるはずもないって、
なぜ、
知らないって、ウソをつきつづけたのか、って?
あのね、あのね、
あんなことがあったのならね、
あの 夜はひとりで寂しかった、って
いってもいいんだよ、って。
ほんとだよ、って。
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