なぜ悲しみばかり流れるのだろう?/秋葉竹
 
ず、
もはや罪のレンガ造りの家の中から、
「空を飛びたいのです、」と
最後の防波堤としての希望を
歌にしようとするしかなく、
その歌にはいっそ悲しみ色の空をもう一度、
白い鳥のものにしてあげるという、
はかなげな夢が織り込まれていた。

なぜ悲しみばかり
流れるのだろう?

この国の空気には、涙よりもつらい水分が、
パントマイムの影のように
手を振りながら、朝を迎える冷たさがある。

なぜ悲しみばかり
流れるのだろう?

夜が明けるまでに、もう一度振り返る時間も、
もう、この国には用意されていないというのに。















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