祈り、ただ、このちいさなもの達の為に。/秋葉竹
 
と黒の蛇2匹は、
絡み合いながら、
眺めつづけている。
瞬きは停止し、
白と黒の蛇の
似た者同士のなれ合いと、
わかっているはずの
お互いへの不可解な怖れが、
ようやく、あきらかになり、

風に吹かれる。




白黒写真のなかに封じ込められた蛇は、
ピンク色の、
不似合いな夢を見ているだろうか?

どこへ、消えた、蛇よ?

森の海に迷い込んだ私は蛇を探して
黒髪振り乱して道無き道を駆ける。

愛の園に置き去りにされた私は蛇を追って
波のまにまに視える海ヘビを探しては、
むかしの蛇の写真と見比べている。




ただ、それだけのはなしだ、

あてなどないはなしさ。


ただ、歌を拾った。
心に、落ちていた。

(祈るわ、)
(ただ、このちいさなもの達の為に、)
(けれど、)
(私は、なにに祈ればいいのですか?)










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