ちいさく、微笑む/秋葉竹
 

近所の公園を散策するにあたって
たったひとりで歩く女性の寂しさを
まるで後光のように際立たせるだろう。

そこに特別な生きがいや意味などなく、
もはやあの暖かい故郷の山の一軒家に
帰りたいものだと思ってしまうのだ。

その納得の仕方に
孤独の刃(やいば)の切っ先を向けて、
悲しみを笑顔に変えても
伝えられない想いを直接注入する。

実りのない優しさの花びらは、
ひらひらと陽光に煌めき
落ちてゆくはずだったのに、
もっと優しい、
全人類的規模の突風が吹いて、
まるで意思なきものの悲鳴のように
いいように流され続ける。

朝日が昇り、
この街の風景から濃い闇を奪い去るとき、
掴めない希望のシッポがゆらゆらと
まだ残っていた銭湯の煙突から
たなびく煙のフリをしても、
どこへも行けないって、涙が小雨になる。

そこに
青空のもと、
狐の嫁入りと伝えられる幾筋もの白い糸が、
だれのほおにもキスをバラまき、
節操ない優しさの花びらのフリをするのだ。










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