ミラフローレスの夏の朝/Giovanni
――ペルー・リマにて――
ミラフローレスの夏の朝は
パッションフルーツジュースの
なめらかな甘い黄の香りがする
1月の夏は
どんよりした曇天の下で
眠りのように紫立った
ライラックの囁きのようだ
ちっぽけな栗鼠が
枝の上でサルサ踊る
暇もて余してクロスワードする
安宿のホテル・デスク・クラークが
Hola と言って微笑んで見せる
それからすぐに 退屈そうな顔に戻る
砂のような夜勤はもうすぐ明ける
明けてしまえば 彼女はきっと
好きな男に 水を纏った向日葵のような
大輪の笑顔を見せるに違いない
アレキパ通りの真ん中には
どこまでも続く歩道があって
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