突き刺さっている月/秋葉竹
 



騒がしい夜の街に背を向け
ひとり、僕は、
顔こわばらせて屋上から星空を見上げる。

なにを得て、なにを無くしたと思っているのか?

この街を出られない、
よからぬことを
ささやかれる日常に、
未来視の魚眼のレンズが、
唯一楽園を
探し求める氷点下の情熱を
僕に知らせてくれた。

救い出せない傷ついた方の真実は、
この、寂しいしあわせという虚構を
簡単に、目に見えないサイン扱いして困る。

教室には憧れの先生がいてくれて、
僕の心は、すごくあっさりと、
その先生を好きと認めた。

かき混ぜる透明な絵の具を揃えて、
僕は小さな声で詩をかくことなど、
恥ずかしさがその空間に、
月ささっていると、気付くものだと
思っていた。






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