花火大会の夜/秋葉竹
 


その夜店のトウモロコシは
あたたかくって
なんどか塗った醤油の香りが
香ばしくって
チープなくせに割高な値段設定は、
その夜の特別なお祭りの熱気代も
込み込みなんだよね?

楽しいから、まぁ、いいか、
って、納得しちゃうんだよね?

そういう夜が、ある。
ひとつの世界で、ある。

仰げば、
あふれ出てしまっている星々の煌めきが、
キンキンと鳴りながら地上に降りそそいでいる。

ひとつの世界が、ある。

永遠をものがたる宇宙の果ての果て。
届きうる目を、知識を、憧憬を、無駄とみなし、
ただそこにある現実を守るしかない
やるせない人間どもの、地
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