春の太鼓/まーつん
ポコポコ、ポコポコ
草なびく大地のどこかから
打ち鳴らす太鼓の響きが
聞こえてくる
訪れる春の気配に小躍りした若木が
己を縛る土のくびきから引き抜いた足で
刻むステップのように、軽快で香ばしい音色が
かつて
平らだと信じられていた世界を
宇宙の片隅にある椅子に腰かけた神様が
膝の上に乗せて、両の掌で叩いているんだろう
神様の手を覆う皮は
天地創造と、宇宙の運行を支える労苦に
ぶ厚く肥大し、幾本もの皺が寄り
カサカサに干からび、白い髭の下の唇は
こらえきれない喜びで笑みを結ぶ
古い被り笠のように、頭を覆うぼさぼさの髪
まるでイカれた乞食か、ヴゥー
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