夜が明け、朝は来るから。(黒猫の黒い影)/秋葉竹
 


みおろすこの街の
眺めは最高のイルミネーション、
頽廃のタワーマンションに
どんな正義も眠るころ、
さまよう夜のいっぴきの黒い猫
あなたを求めて黒い影に化ける。
逃げているわけではないけれど、
こんやこの展望台で教えてもらったのは、
眠れない絶望の過ごし方だった。

どこへいく過去の情熱
どこへいっても、朝には消える。
始まりが、始まらず、
紅い遊歩道の横の小川を泳ぐ
解き放たれた朱色の金魚を
忍び寄る黒猫が囓ろうとする時、
ようやくすべてを諦めた正義が、
朝日の顔をして、
少し照れながら、
起きるって、言い始める。

夢を、みた。
夢は、

[次のページ]
戻る   Point(3)