響く はじまり/木立 悟
むらさきを
白に刺す
影絵 影絵
すべてが
生まれ来る暗がり
明るく 渇き
荒れ とめどなく
波間に漂う
水はじく生きもの
艦が着く
小さく ざわめく
まぶしくがさつな
粉を吹く太陽
空の胸の
すぐ下の渦
金と緑の双子
芝刈機の上の実
弦と車輪の距離
剥がれ落ちる色をひたす
灰に近い白
涙を知らない真昼の景
海岸の 波の際の
上目づかいの岩の
裾を引いてゆく手の
水平線の 曇の
まどろみ ささくれ
あてずっぽうなくじ売り
艦から降りてくる水兵
鐘も笛も無い街へ
響く はじまり
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