朝陽のあとで/ホロウ・シカエルボク
 

路地裏の、闇雲に積み上げられたコカ・コーラのマークのケースの一番上の段からは内臓に疾患を抱えてそうな誰かの小便のにおいがした、睡魔で朦朧とした頭を手のひらの根元でがつがつと二度小突いて、ノーブランドの腕時計を確認すると午前二時だった、一昨日の雨のにおいが微かに感じられるのはろくに日が当たらないからなのか?そういう道を好んで歩いている俺もまた…あまりに八十年代的なセンスに苦笑しながら、そしてほんの少しだけ忌々しく思いながら、舗装されているはずなのに砂利道のような音を立てる路面を踏みしめていく、どこかのコンビニエンスストアの明かりが道の出口を急な斜角で照らして、そのあたりだけシネマティックな様相だ
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