3月のキャンプ場は、寒くって。/秋葉竹
 

暗く静かな山の上の夜、
キャンプ場のテントを出て
なにも考えなくていいしあわせを見上げる。

25時なのに、気分だけは絶対青空のような星空の下。

それでも悪夢への眠りいざなう虫の声や
火をおそれる知恵なき小動物の気配は
この、人の造りしキャンプ場の、BGMだ、冷たい。

もう、ききあきた大量のそれら
山の先住民の小さな抗議を、
悲しむ心を持っていない気づきに怯える。

なぜ?

あなたは、天地万物のすべての悲しみを、
平等に聞いてあげて、
いっしょになって泣いてあげる
最後のやさしい人では、ないの?

そんなわけもなく、
ただ山は、山として、山を名
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