Fallin/ホロウ・シカエルボク
 

クラクションはたった一度だった
きみはそれ以上
もうどんな歌をうたうことも出来なかった
雨はうらみごとのように降り
夜は馬鹿みたいに目かくしをした

なにもかも手遅れの明けがたに
残されたナンバーに呼び出しをかける
「いまこの番号は誰も使用していない」と
抑揚のない声が繰り返して教えてくれた
時計を見てはじめて
寝床に入っていないことを思い出す

ソファーで見た短い夢の中身は
おぞましい模様の熱帯魚の水槽の中をゆっくりと沈んでいく
土の色をした餌をどこかから見つめているというものだった
エアーポンプの神経質な泡がひっきりなしに邪魔をして
しまいにはいらだって大
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