a decade/笹子ゆら
十年前のわたしが知らなかったのは、ほんとうにひとは死ぬのだということ
息は絶えるし、姿はみえないし、さよならはいってくれません
十年後のわたしも知らないのは、ほんとうのひとの愛し方
結局こんなわたしのまま、のらりくらり生きるはめになって
どうにかこうにか、時々波のように押し寄せる淋しさをやり過ごしています
ま、寝ればなんとかなるけど
十年前のわたしと十年後のわたし
いろいろ、まあまあ、だいぶ違いますが
変わらないとこも多々、あんまり無様で
ねえなんだか、へらへらするわね
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