いつだって気づかないところで孵化は続いている/ホロウ・シカエルボク
狂気は茸の胞子のように弾けて、部屋中を漂い、石膏ボードを隠す味気ないベージュの壁紙に羽虫のように止まる、ばらばらの間隔で点在するそいつらは、どこかの阿呆の妄想があれば星座になることだって出来るだろう、あるいはオカルティックな、示唆を込めたサインのように…だけどそれは血しぶきと同じでたまたまそんなふうに飛び散っただけのことさ―余計な注釈をつけようと思っただけで真実はどこかへ姿を消しちまう、シンプルの定義は、あらゆるものを見ようとした結果がその手になければ勘違いに引っ張られる、壁に残された偶然なんかにいつまでも気を取られていてはいけない、そこにはどんな示唆もない、雲のかたちと同じようなものにポエジ
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