だから君はささやかに赤く光るセンサーに手をかざせばいい/ホロウ・シカエルボク
出鱈目に打たれた杭のような樹木の
日に焼け落ちたカーテンのような枝の隙間で
天使の抜殻が薄曇りの空を透かして濡れている
ヴィデオゲームは明確にエンドを表示するけど
人生ゲームのそれはあまりにも判り辛くて
エンディングクレジットの片隅で
NG集を流してるような連中も珍しくないし
ラジオで流れるタンゴの裏拍が妙に五月蠅く感じて
まだ早い空の下で闘牛の幻覚を見ている
角が真っ直ぐにこちらに向かってきて
恋人を迎えるように両手を広げて立っている
昨夜の雨の名残を残す路面では
週末の馬鹿騒ぎの置き土産が点在している
点滅信号の下で誰かが死ぬような思いをしたらしい
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