ワタナベさん「さそりの心臓」に見る「詩とその呼吸」に関する感想文/ベンジャミン
このとき、「かたちづくられてゆくその」という一文はけして長い文ではないのに、通常の改行による間のとり方よりも大きく呼吸をさせられます。
この作品には、そういった文勢による呼吸のポイントが随所にもうけられていて、それが読者にとって心地よかったり、ふと驚かされたりしながら、飽きることなく読み通せてしまえる流れを生んでいるように思えます。
もちろん、それに見合うだけの世界を、繊細な言葉選びによって実現させているともいえるのですが、僕は何よりこの作品の中に出てくる「流星雨」という言葉が好きでたまりません。それは僕の詩情であり、私情でもあるのですけどね。
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