おだやかな道にとどまろうとしたって/ホロウ・シカエルボク
はぐれた鳥の影を追って帰り道を失う午後、時計屋の入口の上の壁に張り付いたアナログの文字盤は大嘘をついてせせら笑っていた、ハレルヤ、いつもより少しだけ暖かいものだからテレビのキャスターは微笑んで「春めいてきました」なんて微笑んでる、でも俺の脳髄は知っているんだ、まだここに容赦ない冬が居ついていることを…花粉の多い年だってラジオじゃほざいていた、ラジオが、まるでそれ重大事項であるかのように、喉の奥に痛みがあるのはそのせいなのか?そんなことに答えなんか出せやしない、正解に興味すらない―自動販売機を探していたんだ、もう二〇分は経っていた、歩き過ぎたことは自分でも判っていた、もうやめなくちゃ、やるこ
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