untitled/
かとり
壁に掛かった
インクジェットの白黒写真
オレンジの間接照明
ゆれる黒い
液体に乗って
通り過ぎていった知らない人たち
照り返す瞬間ごとに
こまかく失明した
方角のひとつひとつが
積もっていくようだった
背後で豆を挽く音がした
あなたは白いカップを持って写真の中にいた
私は目の前の液体に
口をつけないわけにはいかなかった
戻る
編
削
Point
(3)