ぜったいにしあわせになる方法を知っているという大きな嘘をきみは大きく落書きをして/秋葉竹
二年前、あの戦争が始まる日、
きみは真正面から語った。
むかしから知っている街の
夕暮れ時、
真っ赤に染まらないコンクリ壁の
向こう側の街で、
きみの言葉が世界の幸せを奪ったのだった。
なにか思い出の話をした
幸せの話だけじゃ、軽すぎて。
なにか忘れられない話をした
過去が逃げて行く赤ん坊の
ハイハイよりゆっくりとした進み方で。
なにか忘れてはいけない話をした
雪の街をたぐり寄せる
夢の最期をブックマークしておくように。
それなのに
現実の暮らしに燃やされた灰は
雪の街に浄化されて一度、
静かな笑顔に怯えて空に逃げるしかない。
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