インフィオラータ/岡村明子
風の暖かくなった
空から鳥が落ちてきた
インフィオラータを知っているか
無数の花びらで地上に大きな絵を描くのだ
極楽鳥や孔雀は空から落ちてこない
カラスとハトの
いつのまにか 大雨だ
足元を埋め尽くした
灰色は
濁流となり
隙間を縫って
ネズミが疾走する
二センチの積雪で 電車が止まり
三十人も怪我人の出る東京だ
たちまち
足をすくわれ
落下する
カラスの嘴に
脳天を
割られ
鮮やかな
紅が
いくすじも
浮いて
は
のみこまれる
生暖かい空だ
灰色から
ぬっくと立ち上がった男がある
流されていく都会人をどんより曇った眼で眺
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