Disposer/もっぷ
 
違和感はつきまとい
暦はいつだって市民のためにある
権利と義務とをリボンで束ねて
道と名づけ
手渡してくれる約束とは
すれ違い続け
なのにもうすでに私の上には
屋根がある
床も窓も扉も鍵も
そしてキッチンには冷蔵庫
冷蔵庫のなかには
おそろしすぎる何かが
書棚にただ一冊だけ呑み込める物語があり
羊の数をかぞえながらいくども
その絵本と心中したかつて
むなしくても座らなくてはならない椅子を焼べて
立ち入り禁止の芝生で靴を脱いでは踊る暮らし
を夢みながら
雨を待った
四季のそれを識(し)りたかった
けれど空は夕焼けの連続連続連続
どんな時にも私はいったい

どうしたかったのか

いま何をしたいの
傘屋の前で立ち止まる
ほしかった
花柄の傘がみえて
店主はそれを
やがて
包んでいる
老婦人に
鄭重に手渡して
気づけば真っ暗な


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