魔の一夜/坂本瞳子
 
鳥のそれのように
美しい瞳を輝かせて
指先に炎を灯す

そうやって
この冷え切った身体を
温めるふりをして
取り憑くつもりか

まあそれもいい
この人里離れた山の麓
あばら家で
一人きりで朽ちるよりも
幻だろうと
魔物だろうと
ぬくもりに包まれたい
ほんの束の間であろうとも
戻る   Point(2)