青い薔薇/1486 106
 
軽やかな指先で美しい旋律を奏でている
貴方のピアノの音色がとても好きだった
薄地のカーテン越しに差し込む陽射しに
光のベールを纏っているかのように見えた

思い出を頼りに貴方の仕草を真似してみた
けど無骨な指は思い通りに動かせなくて
壊すように叩き付けた手のひらが奏でる
不協和音が誰もいない部屋に響いていた

愛していると言葉にしたはずのこの口で
傷付ける言葉をいくつ放ったのだろう
都合のいい台詞ばかりを並び立てても
きっと修復するのは不可能なんだろう


片付けでもしようと決めたのはいいけど
広すぎる部屋に途方に暮れてしまったよ
クローゼットの奥には小さなイヤ
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