汚れた雪/坂本瞳子
 
雪なんて汚い
白い粉の塊が
誰からも羨望の眼差しで
受け止められるとは限らない

空気だって
雨だって
さして美しいとは言えない
火の粉に触れることは叶わず
埃は忌み嫌われ
結晶は目視できない

舞い降りる雪を
かき集めてボールにして
投げつけると
誰かの胸を突き破らんばかりに
拳以上の衝撃を与えるかもしれない

白い広場は血で塗れ
白の美しさを際立たせるというのか

汚らしい
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