月への道/秋葉竹
 
入れし、
いつまでも愛おしげに
見つめつづける白い蛇の
瞳は 鋭い 硬い 意思の 小さな窓のよう。

何処までも 昇りつづける 白い砂粒を
立ち上がった 白い蛇と
肩を並べて 見上げている。
ごらん?
花も 草も 木もない 世界から来たものが、
花も 草も 木もない 世界へ還って行くさまを。
どれほどの 清い 白い 宝石の粉のような浮遊物が
月夜 明るいとはいえ 中空から宇宙の月までを
薄い 白い 帯として 昇りつづけるかを。

そして、想像してごらん?
その先に待つ
月の庭園に立ち、
見上げると、
大きな瑠璃色の地球が夜空に、
浮かんでいるのがくっきりと
観られるさまを。

私と蛇は顔見合わせて、そののちも
月を見つづけている空間と時間を
いつしかあきるまで、持ちつづけられる幸せを
長い舌を出し入れしながら、
ゆっくりとあじわっていた。





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