遠くで船がゆく/ふじりゅう
橋の向こうの
躊躇いの波音の隙間
流れゆく煙の外れに
眩いばかりの船が1隻
ゆらり
ゆらりと
日が沈むように消えていった。
耳につく
騒音と喧騒は、遠く
煙と潮の満ち様を見ている
生命を眺めるように
煙は続く
船はゆく
どこへともなく
どこへともなく
闇に馴染んだ視界で
なお届かない地平線
その済々たる背中
俺は、幾度となく憧れた
荒れた髪を慰めるほどの、
静寂を洗う風の雨。
灯台で照らされた写真は
ぽたぽた浮かんでは
ま
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