パルナ = ガシン/狩心
パルナは朱色の着物
まるで天使のように蝶のように
ひらりと振袖を揺らして
ガシンを指差しながら笑顔で
「おっまえー」と言う
ガシンは紺色の着物で
少し戸惑った顔で
でも嬉しそうに
「おっ、おれ?」と言う
それは
ベランダの大きな窓に付いている
サンダルの足跡の汚れが
たまたまそのような姿に
見えただけなんだけど
冬の年末のひととき
ひとりのガシンにとってそれは
とてもとても嬉しい
懸けがえの無い錯覚で
幸せを感じずには
居られなかった
窓を掃除していなかった
長い悲しみの先に
そんな小さな幸せが
待っていたなんて
見つめ合う二人は
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